マイナンバーの通知まであと2か月

2015-08-03

1 「マイナンバー法」の施行が迫って来た。正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」といい,平成17年から施行されている「個人情報保護法」の特別法に当たる。国民一人一人に個人番号(法人には法人番号)を割り当て,①行政事務の効率化,②社会保障や税の給付と負担の公平化,③大規模災害時の被災者支援に役立てよう,という触れ込みで,いよいよこの10月1日から個人番号(法人には法人番号)の通知が始まる。
2 個人番号は,それ自体で特定の個人を識別する機能を有する個人情報(特定個人情報)であるため,「マイナンバー法」が特別に規制している。つまり,a)一般的な個人情報の利用目的に制限がない(もちろん,利用目的を特定し,公表,通知することは必要である)のに対し,特定個人情報の利用目的は原則として上記①ないし③に限られる。b)一般的な個人情報は,本人の同意があれば利用目的の範囲を超えて取り扱うことができるのに対し,特定個人情報の場合,たとえ本人の同意があっても許されない。c)特定個人情報を提供できる場合は限定されており,それ以外の場合には提供を求めることも,提供することも禁止されている。d)個人番号の提供を受ける場合には,本人確認が義務づけられている。
3 大企業か中小企業か,サラリーマンか個人事業者か,主婦,学生,高齢者,未成年を問わず,個人番号を含む特定個人情報を取扱うことになり,「マイナンバー法」の上記規制を受けることになるが,思った以上に複雑である。例えば,個人事業者が,地主(個人)から土地を借りている場合,地主から個人番号の提供を受け(本人確認の必要がある),支払調書に自分と地主の個人番号を記載し税務署に提出することになるが,その写しを地主に交付する際には両者の個人番号を消す必要がある。他方,従業員からも個人番号の提供を受け(扶養家族分の提供も受ける必要がある),源泉徴収票に自分と従業員(及び扶養家族)の個人番号を記載し税務署と市町村に提出することになるが,従業員に交付する分にも全ての個人番号を記載する必要がある。
4 政府は,「まずは導入ありき」で難しい説明は後回しにしておきながら,銀行口座開設時にマイナンバーを記載する方向で ,早くも「マイナンバー法」の改正案を今国会に提出(既に衆議院を通過している)するなど「徴税強化策」ばかりに熱心に見える。しかし,これだけ大きな制度改革で国民の負担も相当重い「マイナンバー」だけに,「国民への丁寧な説明」と,そもそも制度の肝であるはずの「行政事務の一層の効率化」,そしてもとより「情報管理の徹底」が求められている。

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